・子供向けラジオドラマ「星雲仮面」についての覚え書き

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卒業研究のため一週間滞在予定で地球に立ち寄った宇宙人ケーゴさん(本名:ニケゴラス/愛称:ニック)が
元気で美しいミキさんに出会って(交通事故)怒られ、「青信号は進め、赤信号は止まれ」だと教えられ、
「研究にもってこいの標本だ」と一目惚れ、そのままミキさん家に半居候(長期滞在)を決め込む第1話。

ジエンボーイ(ジエン型ロボ)にミキさんへの好意を指摘されると毎回照れてごまかすケーゴさんだったが、
第16話のナレーションにも「二人は結婚するのかな〜? いやいやいや、その話はまだ早そうだ!」などと煽られ、
ついに第28話『好き!好き!ミキ』で、真っ向からミキさんへの想いに向き合うことに。
変身ヒーローが変身せずに戦う理由が個人的な愛ゆえに! 誰もが一番印象に残ったと挙げる場面である。
ケーゴは死んだと聞かされて、ウェディングドレス姿で静かに涙をこぼす囚われのミキさんは、ラジオ越しにも美しい。

しかし劇的な救出劇が繰り広げられたにも関わらず、その後に続く話で二人の仲に特に進展は無い。

ミキさんから遠回しにあなたの子供が欲しいととんでもなく大胆なお願いをされているのに
地球文化がいまいちわからずケーゴさん朗らかにスルーしてご飯おいしいよと食べ続ける第34話。

そして最終回(第35話)は宇宙学生らしい唐突な伏線回収で全聴取者困惑、最後は切なくも爽やかに締めた。
おい、結婚しろよ。

敵のプロフェッサーGとその姪レディCは素晴らしい科学力を持ちながら、
世界征服に興味は無く子供たちを泣かせるためだけに全力を尽くし、
ケーゴさんはミキさんを守るついでに近所の子供たちも守って地球人研究の資料にして、
なんというか、敵味方やりたいことしかやってない、町内規模の楽しい子供向けヒーロー番組だ。
ケーゴさんとジエンボーイがお友達の質問に答えるおたよりコーナーもあるよ。


・日食


「ひいー、イナゴが跳ねまくっとんー」
「アヒャー、オレたちをさらうつもりかー」
「どうしたの、二人して立ち止まって」
「日食の日にイナゴの群れがゴルァゴムのしわざ」
「このままつっこんでったら改造AAにされちまう」
「まったく世話の焼ける」
「だめっちゃ!」
「危ねえ!」
「平気だって。私の後についてきなさい」
「おおー、俺たちの救世主伝説!」
「ねーちゃん最強だ! 勝てる!」
「今日のは皆既日食じゃないでしょ」

「じいさま、次の日食はいつ見られるん?」
「次は26年後」
「26年後ってことは、うわあ、みんな30過ぎてる」
「オバサンオバサン」
「ああでもどうかな、美人薄命っていうよね」
「よかったなねーちゃん! あと10回はヨユウで見られるぞ!」
「死神にも選ぶ権利はあるで」
「うるさいうるさい」
「アヒャ! たたくなよオレばっかり!」
「私の手近にいるのが悪い」
「そうで、常に距離とらな危険、ぎゃ」
「残念だったな!」
「オソロシイ」
「暴力怖じいしんけん怖じい」
「大体、あんたたちだって立派なおじさんじゃないの」
「おいさんになったら宿題せんでいいけん、楽やな」
「はやくオッサンになりたーい」

「こらこら二人とも。女の子をしつこくからかうのは紳士として恥ずべきことだよ」
「おじいちゃんは紳士だよね。それにひきかえ」
「俺も紳士やけん、暴力も水に流そう」
「オレもシンシだから、次の日食も一緒に見てやってもいいぞ」
「何そのエセ紳士」
「次もみんなで仲良く一緒に、ううむ、じいちゃんはさすがに無理かなあ」
「ええー、80くらいでしょ。おじいちゃん元気だから次も一緒に見られるって」
「全然ムリじゃねえよ、せめて百まで生きろよー」
「不老不死の薬を作ろうえ」
「つまり、元気に不老不死の研究を続け、百歳になるまでに薬を完成させる、と」
「いいぞジジイ! オレにもよこせ!」
「次の日食見るどころじゃないよ!」
「俺手伝う!」

「……そっか。次の日食のときは、あんな赤ちゃんの妹が、今の私よりずっとおねえさんになってるんだ」


・文通

『ここ最近、学校や寮の図書室の本では物足りず、あなたの本棚が余計に恋しく思い出されます。
 お暇なときに、『火星年代記』のような胸ときめくSFを送ってください。
 以前挫折した『光の王』や『膚の下』や『永久帰還装置』も、今なら最後まで読める気がします。
 届くまでの間、近所の古本屋さんで買った『火星夜想曲』を少しずつ読んで待っています。
 楽園の手前の駅だとか時間巻取機だとか赤い砂漠を走る興行列車だとか檻の中の見世物の天使だとか、
 何だか心惹かれるでしょう?』

『ご所望の、アグニの黒眼鏡・テンカイチノオチヨウシモノ・手のひらの上の猫売りです。
 他にも何冊か適当に選んで入れておきました。どうぞお納めください。
 『火星夜想曲』は以前から読みたいと思いつつ見かけたことがなかった本なので驚きました。
 今度こちらに帰るときに覚えていれば、貸してもらえるとありがたいです。
 あと、君の恋焦がれる想いを本棚にそれとなく伝えてみたのですが、
 残念ながら返答は得られませんでした。力及ばず申し訳ない。』

『”わたしに会いたいと泣きわめけ。実行ののち返信のこと。愛とキスを送る。”
 本受け取りました。ありがとう。まさかあんなに重い小包が届くなんて、予想外にも程があります。
 寮の友人たちに見られて笑われました。恥ずかしかったです。
 一番上に入っていた『火星鉄道一九』は題名だけで胸ときめきました。
 『火星夜想曲』持って帰ります。曲芸飛行士の女の子とその夫がとても素敵です。
 絶対あなたも気に入ると思います。』

『”あなたがいないとひどく淋しく、ふさぎこんでいる。あなたなしでは仕事がつづけられない。”
 送った中で最も漢気あふれる本に胸ときめかせ、あまつさえ『サターン・デッドヒート』の一節を引いてくるとは、
 さすがはいさましいちびの冒険娘ですね。早速、楽しんでいるようで何よりです。
 見られて恥ずかしい本を送ったおぼえはないんだがなあ。
 それではご厚意に感謝。帰省を楽しみにしています。』